<前回からの続き>
さてマスクはかけず、手から感染を防ごうとする英国人の対策とはどんなものか。
ちなみに“Catch It, Bin It, Kill It.” (ウィルスを捕まえ、適切に処理し、撲滅する)というのが国民医療サービスのNHS標語だ。
これは公共交通機関でのテロ対策の標語“See It. Say It. Sorted.”(不審物を見つけたら、すぐ報告してください。担当者がすぐ対応します) と同じく、キャッチーで覚えやすい。
以下の3つが国の薦める代表的な対策だ。
まず「石鹸で手を洗い、消毒液でさらに殺菌」が基本。これはどこでも同じだろう。全国の学校でも数時間ごとに生徒が手洗いをするよう指導され、みんなで一日に何度も手洗いに向かっている。またジェル状の消毒液も手渡され、手に数滴を落としすり込むようにして消毒する。
咳やくしゃみをする時は片腕で顔を覆う。ティッシュが間に合わず両手で顔を覆うようにしてハクションとやると手にウィルスが付着し、それがあちこちに触れ感染が広まるからというのが理由だ。やっぱりマスクはしない。
咳、喉の痛み、発熱があったら他人との接触を避ける。学校を休んだり、自宅勤務、リモートワークに切り替える。もちちろん新型ウィルスに感染していることが分かったら自主隔離。ちなみに単純な風邪だが大事をとって休んだ就学児を抱える私は、本日リモートワーク中。本日は撮影がないので助かっている。
ちなみにオンライン・ラーニングとリモートワーク化がこれを機にぐっと進みそうで、ある意味投資とビジネスチャンスでもある。もちろんそういった話し合いがすでに企業でもたれている。
そしてパニック状態の大人を横に、元気のいい子どもたちは面白いことをやっている。
何があろうと彼らはたくましいし、新しくて面白いことを生み出す。どこまでも健全だ。
結局、マスクは登場していない。たまにマフラーやスカーフを目深に巻いて工夫している人はいる。マスクなんかしても、予防にならないよと公言する人もいる。
そして日本も英国も変わらないのは人々のパニック買いだ。
何かあるたびに トイレットペーパーが最初に消えるという現象が不思議でならなかったのだが、「ストレス時に日用品を買うと心が落ち着く」という話を知り、ようやく納得。
私がいつも買い物する大手スーパーでも薬や食料より先に、まず一気にトイレットペーパーが棚から消えている。
サイズの大きいものだけに消えるとすごく目立つ。だから「あ、うちも買わなくては」とさらに人々の購買意欲をかき立てるのだろう。いわゆるFOMO(取り残され恐怖症)だ。
ユニバーシティ・カレッジ・オブ・ロンドンのディミトリオス・ティブリコス(Dimitrios Tsivrikos、名前の日本語表記が間違っていたらすみません)博士によると、パニックは種類がありひとつは災害型パニック、もうひとつは一般的パニックと呼ばれ、トイレットペーパー爆買いは後者の典型的な例なのだという。
災害型は人々がもう少し情報を握っており、自分の取るべき対策が分かっている、しかし一般型はどうしたらよいかイマイチ分からない。ウィルスは目に見えないし、何となく不安&ストレスが高まっており「なんとなく怖い」という状態だ。
こういうときはどーんと大きくて長持ちして安心させてくれるようなものを買ってしまうのだという。
現在私がクラスロンドンのエリアではトイレットペーパー以外にも解熱剤・風邪薬などの薬品、主食系の米やパスタに朝食シリアル、非常食用のカンヅメ、冷凍野菜などが品薄になっている。小麦粉もきれいにない(パンケーキやパンを焼くのだろうか)。それなのに生鮮食品や普通の食パン類、菓子類やお茶は現在のところ変わりないように見えるのは、人々がストック用食品の買い物でそこまで手が回らないせいなのか、それとも一つ一つのサイズが小さいので減っていても目立たないしストックも十分にあるということなのか。半々といったところだろう。
心理学者のカタリナ・ウィトジェンスは「人々のパニック状態は1ヶ月もすると収まる。冷静になるまでそれぐらい時間がかかる」と述べている。
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